立位が保てず歩行もできないけれど、車椅子にはしっかり座ることができて、手すりを持つか、職員の抱き抱えなどの支えがあれば短時間は立つことができる人の入浴介助には、専用の介護用機械浴槽を使うことが多い。入浴方法として、まず車椅子から介護用機械浴槽の一部分である車椅子のようなつくりの椅子に乗り換える。その椅子にすわった状態で、入浴者の状態により、本人、または職員が髪や顔、体を洗うのだ。
洗体が終わった後、椅子をリクライニングさせて専用の浴槽にゆっくりとドッキングさせていく。椅子が浴槽にきっちりとはまると浴槽が完成し、湯を溜めることができる。椅子が浴槽に固定されていないと機械が判断すると、湯が出ないような仕組みになっているのだ。また、湯の温度はモニターで確認することができるのだが、固定した状態で湯が注入されることに恐怖を感じる入浴者も少なくないのである。中には、それほど熱い温度の湯が注入されていないのに、パニックを起こす入浴者もいるのだ。そのため、側について実際に職員が手を入れて安全な温度であることを声がけすると、入浴者は安心できるだろう。
湯は椅子に座った状態で肩の高さあたりまでしか溜まらないようになっている。しかし、背が低い入浴者や、入浴者が車椅子に浅く腰掛けた状態でリクライニングした場合は、機械にまかせていると湯が肩のラインを超えて注がれることがある。したがって、職員が側でしっかり見守っていないと、大変な事故が起こる可能性があるので、注意しなければならない。