入浴介助は要介護の人の入浴を補助する行為である。多くの場合、足腰が弱っている高齢者を相手に行っているが、温水で濡れた浴室内での作業になるので十分に注意する必要がある。介護施設の浴室は複数人による介助作業ができるように広いスペースが取られているのだが、水濡れが原因で起こる転倒事故のリスクは一般住宅の浴室と変わらない点に注意することが大切だ。また、浴槽付きの改造車両で要介護者の自宅に赴く出張入浴サービスを行っている介護施設もあるのだが、狭い車両内での入浴介助は自由に動くことが難しいことから特に注意する必要がある。
入浴介助での事故は転倒の他、温水の温度調節を誤ったことによる火傷も多数を占めている。高齢者は加齢によって神経の働きが鈍くなっているため、人体に危険な高温に触れても即座には反応しないことがあるのだ。そのため、重大な危険に至る程の水温でもそのまま浸かってしまうケースがあることから大きな事故に繋がりやすい傾向があるのだ。
また、温水に浸かる行為は体温が急激に上昇するので、体内の水分が不足している高齢者には体調不良を引き起こす可能性も少なくない。本人に自覚が無くても脱水症状や熱中症に見舞われる危険があるので、介助を行う人が要介護者の状態をよく観察して対処することが大切だ。入浴は体の汚れを落として暖めるだけではなく、緊張をほぐしてリラックスする効果がある。楽しい入浴にするためには介助を行う側が安全管理を徹底することが最も重要なポイントなのである。